流し流されて

今日は会社全体の辞令交付式と、新任研修だった。

私の職場から新任研修を受けるのは私ひとりだった。

どうやら会社全体の中でも、私が配属したところは特殊な位置づけの職場らしい。

しかも、この700人規模の福祉関係の会社の中で、心理職に就く人はほぼいないようだ。

 

ありがたいことに正社員として雇ってもらえた。

就業規定とか福利厚生とか、色々と説明を受けた。

急に大人になった感じだ。

今までまったく仕事がお金につながらない仕事ばかりしてきたから、目新しくて面白かった。

文明に出会った野生人みたいだ。

気になっていた通勤手当は、全額現金給付してもらえるそうだ。

普通の大人はみんな自家用車で通勤なので、距離に応じた補助が出るので計算は簡単だ。

バスとJRとタクシーを駆使する、不規則な就業時間の私の通勤は大変ややこしいのだけど、丁寧に対応していただけた。

 

 

創業者のお話を聴いた。

熱い思いでこの会社を育ててこられたことがわかった。

社員を大切にすることで、利用者さんに貢献したいという言葉は、嘘ではないと感じられたし、

今まで出会ったすべての社員さんたちから、とても親切に丁寧に対応していただいた。

採用について相談に伺った1月のある日、たまたま創業者にご挨拶する機会があって、

気張らずにゆったりとやってくださいねと言っていただいた。

その瞬間しかお会いしていないのに、辞令交付式の後、私の名前も配属部署も覚えておられて、声をかけてくださり、上司と引き合わせてくださった。

とてもありがたく、嬉しかった。

その直前にもその後にも、他の新任採用になった方たちにあたたかく声をかけておられた。

採用にあたって相談をしていた担当の方にも、ご挨拶できた。

満面の笑みで、おめでとう!頑張ってくださいね、と言っていただいた。

流し流されて来た場所だけれど、もしかするととても良いところに流れ着いたのかもしれないと思えた。

期待なんて何もしていなかったのに。

 

 

私はおそらく異質な存在としてこの組織の中に所属する。

今はまだ、ここがどんなところなのかまったくわからない。

大人の社会をもの珍しく面白がってしまえるほどに、私はそもそも野生人だ。

フィールドワークをしよう。

でも、今日知ったことは、一致する目標はたくさん見つけられるだろうということだ。

いったい私はここでどれだけお役に立てるんだろう。

ここに骨を埋めるわけではないんだ。それはもう決めている。

 

皆と同じようにスーツを着て、皆と同じように真面目な顔をして研修を受けていたけれど

まるでそれが舞台の上で演技しているようで

高校時代を少し思い出していた。

斜め上から、私はよく私を見つめていた。

 

 

明日は自助グループ

今晩から子どもたちも来ている。

私はこの土地に来て、たくさんのご縁に恵まれて、本当にたくさんの方と出会っている。

これからの出会いも、とても楽しみだ。