ロバの王子

次男に『ロバの王子』を読んでとせがまれました。
グリム童話です。
M.ジーン・グレイグ再話、バーバラ・クーニー絵、もきかずこ訳、ほるぷ出版

両親に愛されないロバの姿で生まれてしまった王子が、リュートという芸を身につけて
城を出てリュートと共に旅をして、
そのままの自分を認め、愛してくれる人を見つける物語です。
ロバの王子の絵が可愛くて、辛く厳しいのですが、美しい絵本です。


親というのはわがままな生き物だと思います。
自分の期待通りの子どもを望むから。
自分だって親の期待通りの人間とはとてもいえないくせにね。


パセージで出会うメンバーさんたちは本当に素敵な方ばかりで、
期待通りの子どもでないと愛せない、というような方にはまだ出会ったことがありません。
でも世の中にはそういう親たちもいるのでしょう。
私はそういう現実から、なるべくならば離れていたいと思ってしまいます。
そういう現実に向き合って、自分にできることをしようとされている方達を心から尊敬します。


でも私にはまだ、向き合う強さがないみたいです。
せめて私にできることは、私の子どもたちを慈しみ、共に生きられることを喜び、
そしていつかより良い世界を作ってくれるような人になれるよう応援することです。
それから、パセージを少しでも多くの親たちに知ってもらえるように活動し続けることです。


次男が、ロバの王子がリュートを師匠について学ぶ場面では
「嫌われていたのに、がんばってすごいね、ぼくもこんな風になりたいな」と言い、
ロバの王子がリュートと共に一人であてどなくさすらいながら、風の歌、月の歌を奏でる場面では
顔を輝かせ、
ロバの王子を迎え入れる王とお姫さまとの暮らしの場面では
「よかったね、ぼくもうれしい!」と言い、
何度も言葉に詰まってしまいました。
悲しい場面では読むのが難しくて、「おかあさんも悲しいの?」と泣いているのがばれてしまいました。
一緒にこの美しい物語を感じてくれた次男に感謝しています。
いつの間に、こんなに大きくなったんでしょう。