あなたとのことを思い出す

一昨日の夜に事件は勃発しました。久しぶりでした。

相手役は夫。内容は、いつも通り、夫の実家のことについて。

私と夫の間で起こる権力争いは、他にも色々火種はあったけれど、

アドラー心理学のおかげで、ちゃんと話し合いができるようになってきて、

私が陰性感情を爆発させ、夫と目標の一致がはかれないという意味では、

今はこのただ一点だけになっています。

カウンセリングの実習でご一緒したことのあるみなさまは、

私と夫と、夫の実家についての事情に無駄に詳しくなっておられると思います…。

このブログに書くのはちょっと迷ったのですが、

どうせ恥をさらしながら生きるしかしょうがないので、

少しばかりおつき合いくださいませ。

 

 

概要は、お盆の帰省の日程についてです。

夫は「6泊したいところですが今回は4泊ぐらいにしときましょうか」と言い、

いや、それでも長いですと私は抵抗を示した…というあたりでしょうか。

複雑な背景があるので、これも正しい言葉ではありませんが。

 

夫の両親は高齢で、ここから車で4時間以上かかる、県外の田舎に居て、

兼業農家をしていました。

1年以上前から、義父は入院をしていて、義母はデイケアに通いながら一人暮らしをしています。

県外に出られなかった時期を除いて、この約1年、

夫は月に最低でも2回は、休日に一人で帰省し、通院や家事を手伝ってきました。

たいへんな孝行息子だと思います。

休日に帰省するために、ただでさえ忙しい人なので、平日の帰宅はいつも深夜です。

私たちは夫と一緒に過ごす時間がほとんどありません。

でもこのことについては、もう、夫のしたいことだからとあきらめました。

ただ健康のことだけが心配だったのですが、もともと丈夫な人でしたが、

なぜかこの1年で、より元気になっていて、私にはわけがわからないのですが、

とにかく今のところは、夫の体についての心配は要らないようだということが事実として残りました。

 

私たちも一緒の帰省中、夫は実家の片付けや草刈りや買い出しや、

家の内外の色々な仕事をしていて、

その仕事をしていないときは部屋に閉じこもって自分の職場の仕事をしていて、

食事のとき以外、ほとんど家族と一緒に過ごそうとはしないです。

彼にとっては、どれだけ滞在が長くても、やることはいっぱいあるので、

長いとは思わないのでしょう。

私は義母と一緒に食事の準備をしたり、片付けたりしますけれど、

それでも膨大な時間があります。

義母は疲れやすくなっていて、よく休んでいます。

そしてその間、夫と顔を合わすことも時々しかなくて、

日中たくさん働いた夫は、子どもたちと一緒に21時には爆睡。

そして6時前には起きて草刈りや庭の掃除をしている…。

最近では子どもたちが夫と一緒に働いているので、

私には子守という仕事もまったくないのでした。

私、いらんやろ。と思ってしまうのです。

 

夫の実家の人々と、私が良い関係でないということも、

たいへん大きな要因ですが、

これは夫の家族と私という別の話になるので、ここでは何も言わないことにします。

課題の分離です。

夫が家族とどうつき合うかは、夫の課題。

私はそれについてとやかく言うことはできません。

また、私が夫の家族とどうつき合うかという問題は、

私が夫とどうつき合うかという問題とは、切り離して考えなければなりません。

私は、夫と良い関係を作っていきたいと思っています。

だから私は、夫と私とのことを考えるべきであって、

義母や義妹がどうこうということに思い悩んでいる限り、

私は夫との関係を良くすることはできないのです。

 

 

そこまでは、たくさんのアドレリアンセラピーを受けて、到達していました。

とっても時間がかかりましたけれども。たくさんの方にお世話になりました。

おかげさまで、この実家問題で衝突することは、とても減りました。

 

一昨日の夜。

色々色々不毛な言い争いをしたけれど、

最終的に私が、打開しようと思って、

開いた質問を、落ち着いてしてみたのです。

「私に一緒に来て欲しいっていうのは、わかったけど、それはどうしてなの?

 私が一緒に行くことで、あなたにとって何が助かるの?」

そうすると夫は、

長いこと黙って考えて、

「食事の準備とかしてもらえるから、ぼくがもっと他の仕事ができる。」

って答えました。

「はあー???」

怒りではなくて、よく考えると、この陰性感情は悲しみでした。

「それ、なかなかに酷いこと言ってると思うんやけど。」

「うーん、そうかもしれない。ごめん。

 でも、ぼくがこう考えるのは何かおかしいですか?」

 

確かにね、この人は、仕事をしに帰省しているのです。

本当に、あらゆることを調整して、家のために役に立とうとしているのです。

年老いた両親のために、少しでもできることをと思って、行動しているのです。

でも、私は、そのあなたの実家の仕事をするために便利な存在だというだけなの?

私たちの結婚生活って何なの?

 

「あなたがそう考える理屈は納得できます。

 納得はできますが、居心地が悪くてあまり行きたくないと言っている人に、

 一緒に来て欲しいとお願いするときの言葉じゃないと思う。

 よくそれで、一緒に来てもらえるって思えるね。」

と私は捨て台詞を吐いて、夫を傷つけて、

その夜は終わりました。

 

翌朝。

偶然、この日はお弁当が仕事先で出るから要らないと言われていました。

長男は早起きしていて、お腹がすいたからと自分で朝食を食べていました。

そこで私は、あんな酷いことを言って、

それでも仲良くしてもらえるなんてことはないんだと思い知れ!

と思い、布団から出ずに、夫の朝食の準備をしませんでした。

夫は、おはようとか、二言三言、話しかけてきてくれましたが、

私は適当に返事しただけでした。

そして長男にだけ行ってらっしゃいと言って、

夫には見送りもせず、行ってらっしゃいを言いませんでした。

不機嫌そうに夫は出て行きました。

ああ、私は「復讐」をしたなあと、嫌な気分で思いました。

これは「権力争い」の次の段階に行ってしまったぞ。

 

この日、私は自助グループを開かなきゃいけなかったのです。

こんな状態で、人さまの相談になんて乗れません。

誰か私の相談を聴いてよって思いました。

でも、なんとかしなければ。私はこの陰性感情に支配されていちゃいけない。

私が陰性感情を作り出し、使っているんだから、

これは私に必ずコントロールできるものなのだから。

次男を幼稚園に送って行って、帰宅するまでの間、

どうしたらいいのかと考えていました。

 

それで、帰宅してよく考えました。

まず、「感情の目的を考える」。

ちょうど数日前の自助グループでパセージテキストの読み合わせしたところです。

私は夫と仲良く過ごしたい。

実家にいつ行くかとかどれだけ泊まるかとかは、今は相談できない状態です。

そんなことよりも、まず夫との関係の修復が必要です。

では、次に、「その感情でもってその目的は達成できるかどうかを考える」。

パセージテキストの手順通りです。

そうだ、私がこうやって復讐的手段に訴えている限り、仲良くなんてなれない。

この陰性感情は、多分悲しみなんです。

私は、自分が夫と一緒にいるということに意味がないように感じて、

悲しかったみたい。

 

エピソード分析の手法を使ってみると、「仮想的目標」は?

私は

「私に一緒に来て欲しいっていうのは、わかったけど、それはどうしてなの?

 私が一緒に行くことで、あなたにとって何が助かるの?」

と聞いたとき、夫になんて答えてもらったらよかったんだろう?

「あなたがもし一緒に来てくれたら、ぼくは落ち着けるから助かる。

 それに一緒に過ごす時間がほとんどないから、一緒にいるだけで嬉しいから。

 あなたにとっては大変だと思うけど、すごく助かるから来て欲しいんです。」

もしこんな風に言ってくれたら、6泊でもがまんできるかもしれない。

でもね、こんなこと、絶対に絶対に言いませんよあの人は。

私がどのように上手に対応したところで、これは、達成不可能な目標です。

解決できないことを解決しようとしているという状態であることを、洞察しました。

 

私一人では、理性の力ではこれが限界でした。

でも、私はあと40分でメンバーさんと向き合わなきゃいけない。

それまでになんとか乗り越えなきゃいけない。

そこで、観音菩薩さまのお力を借りることにしました。

お唱えをして、慈悲の心を思い出そうとしました。

夫は、両親のことを大事にしようとしている。

ところで夫は、私のことを蔑ろにしているのでしょうか?

そんなことはありません。

夫は、私のことも大事にしようとしてくれています。いつも。

夫の実家が絡むときだけ、私が勝手に、私は夫に大事にされてないと思い込むのです。

夫がどれほど私のやることを許容し、関心を持ち、話を聴き、応援してくれていることか。

どれほど私の手助けをしてくれていることか。

忙しいくせに、どれほど私の仕事を減らそうと申し出てくれることか。

夫との今までを、幸せなエピソードを、たくさん思い出しました。

 

それで、今の夫の不幸は、私が昨晩と今朝、夫に対してした行動によるのです。

大事にしようと思っている妻から、酷いことを言われ、冷たくされた。

私が夫を不幸にしているんだ。

 

それなら、私はこの状況を変えることができます。

私が夫を不幸にしているのなら。

だからこれは、喜ぶべきことです。

 

どうすれば夫は幸せになるでしょうか?

それはもちろん、私が仲良くしたいと思っていることを伝えることです。

まず、今朝冷たくして悪かったと謝ることです。

夫は、昨晩のことは水に流して話しかけてきてくれたのですから、

その気持ちをはねのけたことを謝るべきです。

 

ここまでくると、理性の力ですぐに代替案が浮かびました。

今じゃなきゃだめです。

夫が深夜に帰宅するまで待っていたら、夫は一日中不幸なままです。

今、電話かメールで伝えるべきです。

 

ああしかし!なんて高いハードルなんでしょう!

今私は、ただ1本のメールを打つのに、ものすごい勇気を必要としている!

ここは踏ん張りどころだと思って、

今朝は、行ってらっしゃいをしなくてごめんなさいと、

謝罪のメールを送りました。

 

私はものすごく落ち着いていました。

私はちゃんと自分で乗り切ったぞ、と思いました。

アドラー派のカウンセリングを学ぶと、少しずつ自力で問題を解決できるように、

クライアントとして成長できるのです。

今までたくさんのアドレリアンセラピーを受けてきたことで、

私は、今までやろうと思えなかったことに取り組めた、と思いました。

私のカウンセリングや心理療法をしてくださった方たちのお顔が、

一人一人浮かびながら、私はメールを送ろうとしました。

それが勇気になっていました。

 

 

ほんとに、些細でつまらないことですね。

でもそんなエピソードの連なりで私の人生はできているのです。

それならば、少しでも幸せなエピソードの連なりにしていきたいです。

 

メールを送ってほっとしたなんて、自己満足だと言われたら、そうかもしれません。

私が夫を傷つけたことは消せないから。

自分でも自己満足かもなと思いながら、自助グループを終えて、過ごしていました。

夕方に夫から電話がかかってきました。

「子どもたちは元気ですか?自助グループはうまくいきましたか?」とか。

話し始めはちょっと緊張している様子でした。

でも、陰性感情は感じませんでした。いつもの夫です。

「今晩もオンライン勉強会だったっけ?がんばってね。」

どこまでもこの人は、私を応援しようとしてくれている。

この人が私を意味なく思っているだなんて、そんなのは私の思い込みです。

夫が言った酷い言葉をしつこく反芻することに、良いことはありません。

 

昨日夫が帰宅してからも、私たちは普通に過ごせています。

実家の話題はまだ、どちらからも切り出していません。

帰省については、振り出しに戻りました。

でも次に話しを持ちかけてきてくれたら、

もうあきらめて、5泊ぐらい帰省するしかないなと思っています。

だって夫は変わらないから。

でも、私が夫と仲良く過ごそうという努力をし続けていれば、

実家での夫とのエピソードも、少しは良い物語になっていくかもしれません。