親離れ

今日は野田俊作ライブラリのオンライン勉強会だった。

 
夕方、次男を連れて小児科に行ったら、入学にあたってのアレルギーについての書類作成のため、
血液検査しておきましょうと急遽決まった。
次男、「検査しない!」
私、「うーん、したくないのはわかるけど、しなきゃいけないです。」
看護師さんの顔に緊張が走る。
強張る次男。
でも次男は、腹をくくればできる男だ。
腹をくくるまで、びっくりするぐらい情けないことを言うだけで 笑
 
 
少し前、お箸を帰宅後に出さなかった日。(けっこう頻繁にある)
次男は自分で準備をばたばたしていて、「あー、昨日お箸出していなかった〜」とぼやき始めた。
基本的に、お箸を出し忘れたら、次の日の朝、自分で洗うということになっている。
お願いしてもらったら、私に余裕があれば私が洗うこともあるけれど。
「そうだったね。」と私が自分の用意しながら返事をすると、
「お箸出してなかった〜あ〜洗わなきゃいけない〜でもぼく洗い方なんか知らない〜わーん」
と泣き叫びながらソファーから崩れ落ちた。
今日はなかなか芝居がかってますね、と思いながら眺めていた。
いっつもご自分で洗ってますやん…と思ったが黙っていた。
「わーんわーん」と2分ほど騒いで、
次男はふいに立ち上がり、黙ってお箸を洗いに行った。
「さて、準備できました!ジャンパーも着ました!」と、誇らしげな顔で私のところへ来た。
まるで別人。泣き叫ぶ工程、いらんのちゃう?と思いながら、
「早かったね!」とだけ言って、仲良く出発した。
その日以降、お箸を出し忘れることは相変わらず多いが、
 「あーお箸出すの忘れてた!洗ってきまーす!」と言っている。
 
(ちなみに私が長男のお箸を洗うことは1ヶ月に数回である。
 毎日のように帰宅後に出しそびれ、登校前や給食前に自分で洗っている模様。
 昔は私も衛生的にどうこうとか気になっていたが、まったく元気なので気にしないことにした。)
 
 
 
検査というと、溶連菌などの喉の奥の粘膜こすりとるのだと思っていたようで、
「喉がうえってなるから嫌だ〜検査しない〜」と次男はぼやき始めた。
「あ、今日の検査は喉のじゃないよ。」
「え?じゃあどんなの?」少し希望を持てたような顔つき。
「…注射です。」
「…うわーん注射いやだ〜」あからさまにがっかりした様子。
「ですよね…」
ところが、急にきりっとして次男は私を見た。
「ぼく、インフルエンザの注射より痛くないやつなら大丈夫だよ。インフルエンザより痛くない?」
「うーーん…どうかなあ…」
「うわーんインフルエンザより痛いのはいやだ〜」
混んでいる待合室で遠くから心配そうにこちらをうかがっている看護師さん。
「うーん、採血だからね、お薬入れる注射とはちょっと違うから、どっちが痛いかわからないなあ。」
「…。」
うつむいてしばらく黙っている次男。
「あ、でも、最初が痛いだけで、あとは痛くないよね?」
「そうだよ。途中は痛くないよ。」
「じゃあ、嫌だけどするよ…。」
「うん、しゅんすけなら頑張れると思うよ。強いもん。」
「うん。嫌だけどね。」
すべきことを彼はきちんとわかっている。
感情を使ってもどうしようもないことがあると、彼はわかっている。
自分で覚悟決められるようになったんだ、と嬉しかった。
 
看護師さんが呼びに来られて「しゅんちゃん、頑張れる?」と心配そうに聞かれたとき、
 「インフルエンザの注射より痛くないやつは頑張れる。」と答えていた。
応援に来てくださった大好きな看護師さんに手を握ってもらって、ちょっとご機嫌になる次男 笑
「痛くなっても動かないけど、ぼく、ぎょえーいたいー!って言うかも…」
「うん、泣いても叫んでもいいよ〜」
「え、ぼくたぶん泣かないよ。だってインフルエンザの注射より痛くなかったら泣かないからね」
「さっすが、しゅんちゃん♪」
「えへへ♪」なんか嬉しそう。
針が刺さる瞬間、「うおー痛い〜やっぱり痛い〜」と言っていたが、
「あれ…あ、全然今痛くない!ぼく大丈夫!」
「すごーいしゅんちゃん♪」
「あ、やっぱ痛いけど、まだだいじょうぶ…」変顔を始めた。
「しゅんちゃん、白目だけど(笑)」
「こうしてたら痛くない…」
「ほんと〜?」
「うん、こっちも向けるよ〜。(目をぐるぐる回してみる)うあーでもいたいいたいやっぱり痛い〜」
「お母さんのお顔見て〜」
「ううん、だいじょうぶ…」と言いながら看護師さんの顔を見つめる次男。
「看護師さんの方がいいか(笑)」と私。
「うん!」
「え〜ほんと〜♪」
「うん♪」
しゅんすけ、この状況で口説ける君はたぶん大丈夫だ(笑)
 
 
「ぼく注射がまんできたよ!泣かなかったし!」
「そうだね。強いね。」
「あのね、嫌なときほど、面白いことをしたら頑張れるんだよ。」
「はあー、そうなんだ。賢いね。」
「うん!」
変顔したり白目むいたりは、やっぱり意図的にやっていたようだった。
この人はかなり図太いのではないだろうか。
見た目とってもかわいいんだけど、それを自覚していてかわいらしさを使うことも多いんだけど、
大変な状況の中で、どうにか楽しみを見出したり、面白いことをやってみようとしたり、
緊張を緩和させる術をもう身につけている。
 
 
小児科に着いてから2時間以上たっていた。真っ暗な中歩いて、19時半に帰宅した。
長男はひとりで留守番して待っていてくれた。
看護師さんたちは、お兄ちゃんはどうしてるの?と聞いてくださって 、
 一人でお留守番してくれるんですね、すごいなあとか、
これからしゅんちゃん歩いて帰るの?気をつけてね!とか、
私たちのことをとても大切にしてくださる。
お医者さまは、亡くなった小児科医の祖父に少し似ている。お茶目で、優しい先生だ。
恵まれているなあと思う。
子どもたちは守られているなあと思う。
そしていつの間にか、大きくなって強くなったように思う。