昨日はほんのわずかな時間だったけれど、親友と子どもたちと一緒に過ごすことができた。
3年ぶりだっただろうか。
子どもたちにとっては近しい親戚のような存在だ。ほぼ家族だ。
子どもたちは健やかに育っているねと言ってもらえて、安心した。
私は親バカ過ぎて、子どもたちのことを何にも心配していないから、そういう自分を時々不安に思うのだ。
私のことも子どもたちのことも、私は多くの人たちに支えられて、守られているなと思う。
いつもありがとうございます。
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昨日は雨の中、次男とふたりで買い物に出かけた。
習った漢字の話をしてくれた。
「『楽』は、白にアーマーがついてるって覚えたよ。」と言うから笑ってしまった。
最近は戦隊ものやガンダムが好きな次男。君のアーマー(武器)好きがこんなところで活かせるなんて。
そうやって見立てていけば楽に漢字が覚えられるんだと言う。
電気屋の看板を見ながら「じゃあ『電』は、おばけだぞーってポーズみたい?」と言うと、ほんとだ、と笑ってくれた。
「でもね、『上』も『下』も、横棒はいらないと思うんだよなー。横棒なくても上とか下ってちゃんとわかるのに、なんであるんだろうね。」
相変わらず九九を覚えるのに苦労しているという。
でも、一緒に練習してみたら、先週よりもずっとできている。
ひとつひとつ、覚えていっている。ひとつひとつ、学んでいっている。
色んなことを感じながら考えながら。
本当に偉いなあと思う。
スーパーのテーマソングがエンドレスリピートされていた。
頭の中でずっと鳴り続けちゃうので嫌いなのだけど、私が思わず口ずさんでしまったら
「お母さん!スーパーの歌覚えちゃったら『がらがらどん』の話を忘れちゃうよ!ひとつ覚えたらひとつ忘れるんだから気をつけて!」と言う。
この前「余計なことをひとつ覚えたら、大事なことをひとつ忘れるって野田先生が言っていたよ」と話したことをもう自分のものにしている。
私が実技試験で『三匹のヤギのがらがらどん』の素話をするのを応援してくれている。
甘えん坊なだけじゃないな。ほんとに、大きく頼もしくなったなと思う。
もちろん長男も。
次男からは、とりあえずやることが大事なんだと学ばせてもらっている。
やっつけ仕事でもいいから、期限内に提出しよう、間に合わせようって思えている。
完璧主義的な私のこだわりを、手放そうと思えるようになった。
そして長男からは、苦手なことでも継続して取り組み続けることで、上達していくのだと学ばせてもらっている。
失敗を嫌う私の逃げ腰な姿勢を、変えようと思えるようになった。
ふたりのおかげで、仕事を頑張れているように思う。
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今日のオンライン勉強会では、私の職場での話をたくさん聴いてもらえた。
ある利用者さんがだんだんと私に心を開いてきてくださっていること。
話を聴くことはできるようになってきた。
そしてその話から得た情報を他の職員さんたちに周知することで、
多分利用者さんの支援につなげることができている。
私の役回りで、ちゃんと皆のために貢献できているのかなと思えた。
「あのな、これは内緒なんだけどな…」って私にだけ話してくれることが時々ある。
「さっきYさんには嘘をついたんだけどな、これは本当のことだで。」って話してくれることがある。
引き落とし用の口座にお金は残っていなくて、後日振り込み用紙で払うようにしたこととか、
お医者さんには言われた通りに昼寝もしてないしお菓子も食べてないって言ってるけど、本当はよく昼寝しているしお菓子もよく食べていることとか、
こっそり飲酒していることとか。
私は決して怒ったり、お説教したりしないって感じてくれているんだろう。
それはとても嬉しい。
内緒話をしてくれるときはとても楽しそうだから、それも嬉しかったりする。
でも内容は、結構ヤバいなということである。
「あのな、お母さん我慢ばっかりしとるんだからたまにはいいんじゃないって娘も言ってくれるからな、たまに、夜ちょっとだけビール飲んどるんだ。美味しいの?どんな味なの?って言うから、20歳になったら一緒に飲もうねって言ったんだ。」
今まで色々あった母娘であることを私は知っているから、なおさら、
とても嬉しそうに話してくれるこの方と娘さんを、素敵だなって思えた。
「いい娘さんですね。そんなお話ができるなんて素敵ですね。」
心からそう言ってしまった。
ついさっき、娘が学校に行ってるから寂しくて何したらいいかわからん、ここに居たってすることもない、もう出て行こうかと思うって言って落ち込んでいたのに
もう満面の笑みでうなずいている。
でも、この方は薬の飲み合わせが悪いから、絶対に飲酒をしてはいけない方なのだ。
「…でも、お薬の飲み合わせが大丈夫だったか、気になるんですけど…」
「多分、飲んだらダメだで。」と笑いながら言われた。
「ですよねー」
「うん。でもな、テレビで見てたら美味しそうだったから飲みたいなーって思っちゃってな。」
「そうねー。飲みたくなっちゃいますよね。テレビってそうやって買わせようとするんですよね。うーん、でも、お身体のことが心配です。」
「うん。でも、ちょっとだで。まだ冷蔵庫に入っとる。」
飲酒はダメだと押さえるのは、上司や担当職員さんに任せて、
今私は情報収集をするだけに留めておいていいだろうと判断し、にこにこと話を聴くだけにしておいた。
日報に全てを記録して情報共有をすると、インシデントに挙げてほしいと先輩に言われた。
担当職員さんが、病院に問い合わせをされるという。
以前にもこっそり飲酒していたことがあったそうで、しばらくは収まっていたようだったが、
我々はリスク発生の可能性が今もあると認識しておかなきゃいけないですね、情報掴んでくれてありがとうございますと言われた。
私が聴き出したということは伏せて、職員の訪室時に服薬のためお茶を飲もうと冷蔵庫を開けることが多いので、そのときチラッとビールが見えたんだけど、など、偶然知ってという体で、
病院側からか上司からか、効果的に飲酒を止めるように働きかけていきましょう、ということになった。
私はまるでスパイだなと思って、まあこんなもんだよなと私は少し沈んでいた。
情報を流すことが私の任務なんだからと思って。
でも、そのことによって彼女の身体を守るための支援が行える。
それに、私をスパイのポジションに置いておくことで、彼女との信頼関係は保たれる。
オンライン勉強会でみんなの意見を聴かせてもらって、
だとすると、これはチームでの仕事がうまく回っていると言えるのかもしれないって思えるようになった。
彼女の懐に入れたのかな。
落ち込んだ様子で話を始められる時も、いつも最後は笑顔になって別れる。
そうだ。来たときより悪くはしていない。
彼女が怒って立ち去ったり、無表情になって立ち去ったりすることがない。
安心して話ができる存在として、私があなたの側に居られているなら良かった。
雨の中、車で病院に送っていった日があった。
「また迎えに来るのでいいですか?」と尋ねると、「ついて来てくれん?」と頼んでくれた。
「いいですよ。ついて行きましょう!」と嬉しくなって応えると、
満面の笑みでうんうんとうなずいてくれた。
3mもないような距離を、彼女に傘を差しかけてふたり並んで歩いた。
検査室に入る彼女を見送って、中待合のベンチに腰掛けた。
私たちの関係はなんなんだろうなと思った。
彼女を待っている私が、今、とても幸せなのは何故なんだろうと思った。
彼女の苦しみを私はわかってあげることはできないし、
彼女の苦しみを私は取り除いてあげることはできないし、
彼女の苦しみを取り除いてあげようとも私は思っていないようだし、
彼女は本当に困ったちゃんでハラハラさせられてばかりなのに。
今年の4月に出会ったばかりで、全く全くの赤の他人なのに。
どうして私は彼女のことをこんなに大切に思うんだろう。
私と彼女がいる、そういう世界全体のことを思う。
私は彼女なんだと思うことが、不思議でなくなる。とても不思議だ。
私のしていることが彼女のためになってもならなくても、
そんなことは本当はどうでもいいのかもしれない。
もちろん、施設職員としてできる限りの支援がチームで行えるように、私の役回りを務めようと思う。
でも、そんなことよりも、私と彼女が今ここに共に居るということが、幸せだと思える。
他人事とはとても思えないのだ。
きっといつかは他人ではなかったのだろう。