幾重にも

今日も絶対的休日。

 

久しぶりに母と長電話をした。

私たち母娘の長電話は数時間に及ぶ 笑

泊まりに行った時も睡眠時間が少なくなるぐらいによく喋るのだ。

小さい頃から私は母にたくさんのおしゃべりをしてきた。

母も私とのおしゃべりをずっと楽しんでくれているんだろうと思う。

同じものを美しいと感じ、同じものを大切にしたいと願い、同じものを学びたいと思い、同じものを美味しいと感じ、同じ人を大切に慕う。

人生の一時期、同じ時間を共有してきた。

そして今は全く違うところでそれぞれに忙しい日々を過ごしている。

私たちにはいくらでも話すことがある。

 

仲が良いねと人から言われるが、本当に仲が良い母娘だと思う。

それは、母が私を庇護しようとか管理しようとか操作しようとかいう野望を持っていないからだと思う。

私の人生を私に任せてくれるからだと思う。

それと、母の人生は母自身が自分で担って生きているからだと思う。

子どもを自分の人生に縛りつけようとする親は、意外と多いようだが、

反抗心旺盛な私は、そういう親であったなら、きっと仲良くは過ごせないだろうから。

 

良い親子関係って何なのだろうかとわからなくなりかけていたけれど、

多分私と母は良い親子関係なのだろう。

いや、でも、もう親だとか子だとかいうより、

一番長いお付き合いの親友という表現が近いような気がする。

ちなみに私は自分の子どもたちに対しても、一番よく知っている親友という表現が最も近いような気がしている。

母に対しても父に対しても弟に対しても、子どもたちに対しても、私の心持ちはあまり変わらない。

そういう私の家族との関係を「良い親子関係」というかどうかは、やっぱりわからない。

ただ少なくとも、良い関係であることは間違いないと思う。

 

 

 

私が物語をカウンセリングやパセージなどのセラピーに使えるようになったのはごく最近だ。

それは、私が物語として自分の人生を生きられるようになったからだと思う。

物語を使う訓練は、たくさんの物語を読んできた蓄積と、それから、自分で作詩をしていた経験と、あと、音楽を聴いてきた経験のおかげでもあると思う。

 

J-popでも何でも、1曲はひとつの物語だ。

その物語としての曲作りが上手いミュージシャンを私は好きになる。

レキシ(池田貴史)とか、川谷絵音とか、椎名林檎とか、MIKEYとか。

それぞれ、MVの中で、曲にリンクさせたまた別の物語を作っている場合が多い。

また、ライブではまたそれらとは別の物語を作っている場合が多い。

 

特に川谷絵音が楽曲提供をし、川谷絵音が参加するいくつものバンドのことを思うとき、私はナラティブのことを思う。

あるバンド(相手役)と紡ぐ曲(エピソード)の時系列(ストーリー)がある。

時間の経過による川谷絵音の変化と共に、彼がそれぞれのバンドのために作る曲が変化していく。

彼のバンドが演奏する曲たちは、それぞれのバンド独自の変化をしていく。それぞれに関係性が変化していく。

けれど、どの曲も確かに川谷絵音の曲だとわかる。ライフスタイルは一貫している。

 

ライフスタイルが一貫しているということを、私はレキシの曲を聴くとよく思う。

レキシは1曲ごと、様々なミュージシャンと共同で作って演奏している。

どの曲も、コラボ相手のミュージシャンらしさに染まっているのだけれど、どれも確かにレキシの曲なのだ。

そして彼の曲は、とても明るい。

キャッチーですごく美しいメロディーラインに、素直に切ない歌詞を載せておけばいいものを、

歴史に絡めるというコンセプトによる(?)おふざけが感動を笑いに変えてしまうような曲ばかりなんだけど、どの曲にもレキシ特有の明るさを感じる。

 

「マイ草履」なんて、草履がstoryだったらどれほど名曲だろうかと思うんだけど…

(↑秀吉が信長の草履を懐に入れて温めていたという話を下敷きにしたラブソング。

 MVの安達祐実の熱演も素晴らしい。でも、笑えてしまう。)

 

幾重にも物語を重ねて曲を作っているミュージシャンを、私は好むのだろう。

悲しい歌詞が明るいメロディーに載せられている曲が、昔から好きだった。

レキシを好きだなと特に最近思うのは、

悲しい現実に向き合わなければならない時、こんな風にして明るい物語を重ねながら、現実を生きられたらいいなと思うからだ。

川谷絵音indigo la End のように正面から切なさに浸りきるのも良い。

落ちるところまで落ちたら、どうせ私は這い上がるから。

でも、自分で幾つもの物語を幾重にも重ねて、織り合わせながら私の人生を作っているのなら、

数ある帯の中の、明るい物語の帯が私を強く支えてくれるように思う。

 

私は多分明るいものが好きなんだ。

自覚していなかったが、多分私のライフスタイルも明るいんだろう。

どうしてもギャグに重心を置いてしまう父のジャグバンドを聴いて育ったから。