専属司書

春休みになった。いつもより長めに子どもたちが滞在してくれる。

進級お祝いを買いに、今日はみんなで本屋へ行った。

 

まず出かける前に、何を買うか相談をした。

春休みの宿題がないそうなので、「春休みにうちで勉強する用に問題集を買うのはどう?お母さんも勉強いっぱいあるから、一緒に勉強しない?」と提案すると、

意外にも「それはいいね!」と2人とも喜んでくれた。

どうしたんだ我が子たちよ。

なんでもない顔をしているが、習熟確認テストで算数の点数があまり良くなかったことを、2人とも気にしている模様。

 

予算は、町内の子供会から進級お祝いにいただいた2000円ずつ。

次男は、「じゃあ計算の問題集を1冊と、好きな本を1冊買いたい。」と言った。

「好きな本買うのはOK。でも進級お祝いだから、できればお勉強に関わるようなものを選んでほしい。」と伝えると、

ウルトラマン怪獣図鑑!」と言いかけたのをやめて、

「じゃあ魚の図鑑はいい?ああでも、ん〜、ぼくは、生き物のバトルの王者決定戦の、恐竜のやつがほしいんだよね〜」

と、眉根を寄せながら言った。

1冊問題集を買うわけだし、彼なりにウルトラマン仮面ライダーはあかんやろ、という考慮をしてくれたことも嬉しかった。

それで、恐竜王者決定戦と計算の問題集を買うことで目標の一致をとった。

 

「問題集は、どういうのがいい?一枚ずつテストのプリントみたいになっているのがいい?それとも本の形になっているのがいい?」

「本の形のがいい。」

「OK。ノートに書くタイプがいい?問題集に書き込むのがいい?」

「書き込むのがいい!」

「よし、じゃあそういうのを探そう。」

相談はまとまった。2000円を超過する場合は、私が払うことにした。

 

 

本屋に着くと、次男の問題集は条件を満たすものが見つかり、恐竜王者決定戦も見つかり、次男のものはすぐに決定した。

「では立ち読みしてきます!」と次男はウルトラマン図鑑の棚へ走り去った。

 

長男は社会の問題集と算数の問題集がほしいと言った。

「えー!問題集だけでいいの?」

「うん。」

今年度は中学受験があるので、自主学習を頑張ろうと思っているようだ。

 

ふたりで棚の前で色々な問題集を開いては、あれこれ話し合った。

長男は初め、6年生の問題集を手に取った。

「6年生のにするの?!」

「うん。」

「やる気すごいね。…でも学校でもワークいっぱいもらうよね。また6年生になってから買うのはどう?」

「あ、そうだね。」

その次、長男は、算数の難しい文章題の多く載っている受験問題集を選ぼうとしていた。

相変わらず高いハードルに臨みたい人だ。

しかし私は、彼が応用問題が好きで基礎的な問題をあまり訓練していないことを知っている。

単純な計算問題でよくミスをしていることも知っている。

図形問題が得意なことも知っている。

「苦手な単元とかあるの?」

「割合かな。」

「あー、割合、難しいよね。その問題集は割合のページある?」

「これは速さのページはあるけど、割合はないなあ。」

「これはあるわ。」

「うーん。そうだね、5年生のにしとこう。これは?ハイレベルだって。」

基礎的な問題から受験問題まで入っている5年生のハイレベル問題集を選び、密かに私とも目標が一致した。

 

次は社会の問題集。

6年生から新しく歴史分野と公民分野の勉強が始まる。

予習をしておきたくてたまらない様子。

相変わらず難関校受験用問題集を手に取っている。

小学校5、6年生の社会は、かなり覚えることが多い。

小学生って大変なんだなあとあらためて思った。こんなに多岐に渡る勉強をしているんだ。

色々相談した結果、はじめにポイントが整理されていて、基礎的な問題があって、受験問題も少し載っている、苦手克服用の問題集を選んだ。

 

 

実は私は、問題集や参考書を選ぶのが好きなのだ。

自分が勉強する用のものを選ぶのも好きだけど、人が勉強する用を選ぶのも好きだ。

そういえば後輩の大学受験用問題集、参考書を選ぶのに付き合ったこともあった。

弟に英語の単語帳はどんなのがおすすめ?って聞かれて、3冊ぐらいをプレゼンしたこともあった。

…実は、選んだ問題集を解くこと、勉強することよりも、問題集を選ぶ方が好きだ。

一体どういう趣味なのかよくわからないが 笑

なので、目的意識のはっきりしている長男と一緒に彼のために問題集を選べて、とても楽しかった。

実際に問題を解くのは長男。私は問題を解きたくはないのだ。

ただ、良い問題の載っている問題集、目的やレベルに合った問題集を嗅ぎ分ける能力は、なぜか私にはあると思う。

 

 

その後私の職場用のパーカーやスリッパなどを選ぶのに長男に付き合ってもらって、

食材も一緒に選んで、

好きなだけ立ち読みをした次男のところへ戻って、みんなで帰宅した。

 

帰宅するなり、「勉強しよっと!」と言って次男が早速勉強を始めた。

「これめっちゃ簡単!おれ天才かも〜!もっと勉強するぞー!」

と調子に乗っている次男のは、簡単な問題が繰り返し繰り返し出てきて、だんだんとステップアップしていくタイプの問題集なのだった。

計算が苦手だとちょっと悲しそうに言っていたからね。

次男もとても賢い人だから、練習が不足しているだけだ。

 

長男はしばらく工作をしてから、社会の問題集のポイントのところを読み始めた。

「あ、僕ここ苦手なんだよね。…あ、解けた。」

問題も、書き込まずに解き始めていた。

「これすごくわかりやすい!」と喜んでいた。

受験問題もそのまま解いてみたら正解していて、大変満足そうだった。

「明日は歴史のところやっちゃうよ!」

彼のプライドをくすぐれたようでよかった。

 

 

そんなきらきらした彼らの隣で、私も資格試験勉強をしていた。

私は彼らのように賢くはないので、とにかく数をこなしてたくさん間違って、言葉に慣れていくしかない。

成果は見えなくても、手応えは感じられなくても、やれるだけやろう。

確かな手応えが感じにくいとやる気を失いがちな私は、

何回解いたかというチェックボックスが付いている問題集を選んでいたのであった。

私はけっこう真面目だな。