劣等感こそが美点

今日はベイトソンのオンライン勉強会だった。

日中はコーラスの練習に行った。

 

ベイトソンアドラーという、西洋哲学や西洋科学のデカルトパラダイムへの批判的立場から物を考えるようになると、

おそらく西洋哲学や西洋科学のメタの立場から物を見ることができるようになるのだろうと思う。

ベイトソンアドラーに馴染んだ今、西洋哲学や科学思想、現代思想を学び直そうとしている。

今読んでいるのはアーサー・ケストラー編著『還元主義を超えて』、吉永良正『「複雑系」とは何か』。

学生時代に学ぼうとしていたときは、右も左もわからず、ただ地べたを這うように、全てを飲み込んでいくしかなかった。

けれど今は、私に目的意識がある。ひとつの思想的立場に立っている。

とても学びやすく、より視野が広がっていく心地よさがある。

 

何かひとつを決めるということは、それに縛られるということでもあり、

ある意味で自由になるということでもあるのだろう。

どこまでいっても、ある立場に立つということは、その偏見から逃れられないけれど

その立場に自覚的である限り、他の立場についても、価値相対的に見ることができるのではないだろうか。

ライフスタイルからは逃れられないけれど、ライフスタイルに自覚的になれば、

そのライフスタイルを瞬間的には手放して、新しいことができるようになるのと同じように。

 

 

 

 

パセージとプチパセージのお知らせを昨日から始めた。

本当は、今とても困っている子どもさんや親御さんの力になれたらと思う。

でも、今の私はそこに直接アクセスすることはできない。

困っている人を救おうと思うことも、私は野田先生の弟子として警戒するし、

(野田先生はそれをメシア願望と呼んでたしなめておられた)

困っている人が救われたいと頼ってくる関係性も警戒する。

私はなるべく私自身の色を出さずにいたい。人の期待になど応えられない。

誰にでも、自分で自分を救う力があるはずだ。

その方法を知らないだけ。その方法が間違っているだけ。

私はただ、アドラー心理学の知恵をお伝えすることに集中したい。

今よりも子どもと良い関係を築けるように、自分を少し変えてみようと思う人たちに、

アドラー心理学の育児をお伝えしたい。

そしてプチパセージやパセージを体験してみて、いいなと思った方が、一緒に学んだらどうかなと思うお知り合いを連れてきてくださる。

そのうちに、本当に困っている方へと伝わっていけばいいなと思う。

遠い遠い道のりかもしれないけれど。

 

そんな話を友だちとしていたら、そういう手順は大事だと思うと言ってもらえて

とてもありがたく思った。

徐々に輪が広がっていくことって素敵だと思う、と言ってもらえた。

私のしていることは、本当に何かのお役に立てているのかなと

この頃、よく分からなくなっていたのだけど、

世の中は線形的ではない。

大事なことこそ、時間をかけて、手間をかけて、丁寧に伝えていくべきなのだろう。

スピードや効率やわかりやすさがもてはやされるけれど、そんなものではないよね。

そのことを同じように感じてくれる仲間が、私にはたくさんいる。

 

 

私の熱意は、人生を賭けていると言ってもいい。

野田先生がお亡くなりになってから、いまだ混乱してもいるし、いまだ希望を持てないでいる。

なかなか言葉にできないでいる。

でも、そうやって自分にためらいながらも、私は多くの人に支えられて、勇気づけられて、

そしてその人たちとの関係の中で生かされている。

 

パセージでもプチパセージでもカウンセリングでも、誰かのお役に立てた!と手放しで喜べない自分であることを、よかったと思おう。

「役に立つ」ことがおそらく優越目標である私にとって、

とても助かりましたありがとうございます、と言っていただけることは無上のことであるはずなのに、

そうは思えない私は、私をより役立たせられるような人間に成長しているんだと思う。

少なくとも、そこで満足してしまっていたときの私よりは。

いつだって私は不出来で、拙い。

それでいいんだ。だってもっと私を役立たせられるようにと学び続けられるから。

 

熱意を持っていることは幸せなことだ。

人生の目的を、意味を持っているということだから。

けれど、その目的にはいつまでも手が届かない。

私はアドレリアンとして、それを知っている。

そして私はそのことを、辛く思う。これは私のライフスタイルによる価値判断だ。

理想に手が届かないことに絶望しがちなのだ。

私はすぐに自分を役立たずだと思い込んで落ち込む。

そんな自分でも、でも、いいんだ。多分。

だって人がこんな私にかけてくださる優しさに、私に意味を見出してくださることに、いつも感謝していられるから。