樹上の豹

昨日と今日は諸々の用事の日。

たくさんの方々にお世話になりました。
感謝してもし尽くせません。落ち着いたら必ず、ゆっくりご馳走させてください。


不思議だなと思っている。
変化していく私を眺めている。
だけど、子どもが生まれる前の私にまた会えたような気もしている。
色々なことを知りたくて、世界がどうなっているのか、地図を手に入れたくて、
私は目覚めているほとんどの時間を読書に費やしていた。
生活は生命維持のための必要最低限だった。
まったく、母親になってその重要性が逆転してしまった。
そして今子育てが一段落ついて、私はもう一度私の時間の配分を、読書に傾けようとしている。

以前と大きく異なるのは、もう私は地図を手に入れているということだ。
どこを冒険すればよいのか、私にはもうわかっている。
やみくもに本を読み漁るような読み方はもうしない。
必要な本は、もう野田先生のガイドによってほとんどわかっている。
あとはこれから出てくる本に少しばかりの注意を払っておけばいいだけで、
必要な本なんて本当は大してない。

そう思っているくせに本を手元に置いてしまうのは、
まだ私がその本を読んでいなかったり、私には不要であると断定できるほどに読めていなかったりするからだ。
捨てていこう。
読んで読んで、捨てていこう。
どうせ、大切なものなんてそんなにないんだ。
ただの変色した紙の束に、私はどうして最後まで執着するのか。


野田先生が、私を木の上のヒョウだとおっしゃった。
私が大学生の頃だった。
母親のヒョウは、昼夜木の下を駆け回って狩りをし、ヒョウの子どもたちを育てていた。
なかなか木の上に上がることができなかった。
でも今はもう一度、あの高い枝に寝そべって、広い世界を望んでみたいと思う。
きっと母になる前とは違う景色が広がっているだろう。
そして私は、狩りの腕前もずいぶん上達しただろう。
子どもたちもいる。仲間もいる。もう私は孤独にはなりえない。
ありがたいことだ。