贈り物

今日は絶対的休日。
昨日からまた夫は実家に帰省している。
昨晩はすごい雷雨だった。今日も1日、激しい雨が窓に叩きつけていた。
何度かの雷雨の後、もうすぐ雪が降るんだろう。


このブログのタイトルは、万葉集大伴家持の歌
「あらたしき年のはじめの初春の今日ふる雪のいや重け吉事」
から名付けたことは、最初の記事にも書いた。
失意の中、因幡の国に赴任した家持の見た雪は、ここ因幡の国に住む私の知る雪だ。


万葉集は、野田先生がカウンセリングの勉強をするなら読みなさいとおっしゃった。
「上手なカウンセリングをするためには、言葉の力を磨かなければいけません。
言葉の力を磨くためには、短歌がいいです。
あ、俳句はね、論理がないんですよ。でも短歌には論理があります。
本当は短歌を詠むのが一番いいけれど、まずは短歌を読みなさい。
おすすめの短歌ですか、それは、万葉集です。万葉集、いいですね〜。」
2017年の5月頃だったと思う。
その講座の帰り、本屋に寄って、万葉集全5巻を買ったのだった。
私は真面目な弟子だ。そういう側面では。
そして万葉集すべて読んだ。なかなかの苦行だった。
短歌についての本は、さしあたって正岡子規の『歌よみに与ふる書』を読むのがいいでしょうと言われたので、それも読んだ。

 

野田先生、私万葉集全部読みましたよ!と、7月のある日、報告したら、
「そうですか、では犬養孝先生のご本とご講義のCDを差し上げましょう」と言ってくださり、
野田先生は、テープをわざわざCDに焼き直してくださって、私にくださった。
私は次は万葉集についての犬養孝先生の講義を受けることとなった。
犬養孝先生は、万葉集研究の大家である。
大阪大学でも講義をされておられ、野田先生は犬養先生のご講義を受講されたのだという。
あまりのご縁の深さに感動して、ありがたくて、もうこれは学ばなくてはならないと思って、
しかし若干重い気持ちで犬養先生の講義を聴き始めた。
だって万葉集、よくわからないしあんまり面白くなかったから…。
ところが、犬養先生の講義は、ものすごく面白くて、夢中になって聴いた。読んだ。
犬養先生の歌についてのお話を聴いていると、万葉びとたちの息遣いまでが聞こえてきそうで、
ああ古代の人たちも、同じように生きていたんだなって思えた。
悲しい気持ちや愛しい気持ちや、どうしようもない気持ちを、歌にすることで心を鎮めるのは、今も昔も変わらないと思った。


私のカウンセリングが、万葉集のおかげで上手になったのかどうかは不明だ。
だけど、万葉集を知ったことで、私が人間として豊かになり、強くなれたのは確かだ。
野田先生から私がいただいたこのような贈り物は、数え切れないほどある。
私は野田先生と出会えて、弟子になれて、幸せだ。
師匠からのたくさんの贈り物と思い出は、永遠に私の宝物だ。