女子力の偏り

今日も絶対的休日。

 

珍しく夫も昼過ぎまで一緒で、家族で休日らしい休日を過ごすことができた。
とは言っても遊びに行けたわけではなく、たまっていた外の用事をみんなで慌ただしく片付けていった。
子どもたちの髪を切ってもらいに行ったり、次男のランドセルを買いに行ったり。


帰宅して昼ごはんの準備をしていたら、電子レンジが急に何にも反応しなくなった。
私が大学生の一人暮らし時代からずーっと使っていた電子レンジだから、無理もない。
昨日まで元気だったのに、急なことでびっくりした。
しかし今日はすぐに夫と買いに行くことができてよかった。
もしこれが来週だったら、私は電子レンジなしで1週間やり過ごさなければならないところだった。

 

食事が終わって「行こう、もう、今すぐ買いに行こう!」と言う私に
「買いに行くのはいいけど、どんなのがいいか、リサーチしなくちゃいけないんじゃない?何も考えないで行っていいの?」
と夫が言った。
「一番低機能の型落ちの安いやつでいいから、私は何でもいいからリサーチいらんよ。」と言う私。
「えー、いいの?」と笑う夫。
「私、高機能あっても使いこなせないもん。お店にあるやつから選べばいいよ。」
「それもそうですね。」
スマホで急いで口コミ等を調べかけていた夫が、ちょっとほっとした顔をして、

「じゃあ行こうか。」と言ってくれた。


「じゃあお父さんとお母さんは電子レンジ買いに行ってくるので、お留守番を頼みます。」 と子どもたちに言いに行ったら、
「え!どんな電子レンジにするの?あの、せっかくだからぼく、色んなのが作れる電子レンジにしてほしい!」
と、まさかの長男から要望が。
そうだった…!お料理男子長男、私より相当女子力高いんだった…
「そうだよねー!どんな機能があったらいい?」
なんか嬉しそうな夫。もう君らで決めてくれ〜!
長男「えーっと、オーブン機能はほしいです。色んなお料理作ってみたいから。」
夫「オーブン機能も、電子レンジによって色々あるんだよね。ヘルシオとかだとスチーム機能とか、値段も高いやつはすごいからなあ…。
でもうちはダッチオーブンとグリルがあるから、ある程度はできるんじゃない?なんかできないことあるの?」
長男「あのですね、ダッチオーブンは温度設定ができないんですよ。だから、温度調節できるオーブン機能があったらいいな。」
夫「あ、それはそうだね、わかった。」
私「たいていの電子レンジにはオーブン機能ついてるから、一番単純で安いやつでいいかなあ。あんまり高機能だと、私が使えなくて困るので。」
長男「じゃあそういうのでお願いします!」
無事に目標が一致した。


車で2人になると、「どこの店に行きますか?」と夫。
うんざりする私。次は店選びか…!ほんとにどこでもいいんだけど。
私「どこの電気屋さんでもいいです。」
夫「古い電子レンジの下取りの値段とか、お店によって違うからさあ。」店を調べようとスマホを取り出そうとする夫。
私「あー…どこでもいいよ。下取りも、もう、言いなりで…。私わからへんし。」
夫「うーん、じゃあさっき通ったところの電気屋さんにしようか?それともあっちの店にしようか…」
私「さっき、新しいホームセンター見つけたよね。」
夫「あ、そうだったね。じゃあそこに行ってみましょうか♪」
無事に目標が一致して、穏やかなドライブとなった。

 


夫と長男は、新しいものとか買い物とか、色々考えたりするの好きだよね、と思った。
道具を使うことも本当に好きみたいだ。
生活することを楽しめて、いいねと思った。

 

私はほんとにすべてが面倒くさくて嫌いだ。
物を買うことも、物の管理も、できる限り考えたくないししたくない。
こだわりがあるのはノートとか文房具ぐらい。じっくり考えて選びたいのは本だけ。あとは服ぐらいか。
でもできることなら、これと気に入ったものが見つかればずーっとそれを使い続けて、古くなって使えなくなったら、まったく同じものに更新していきたい。
新しいことにできる限り脳みそ使いたくない。そういう人間だ。
食材も、生協の宅配で、毎回ほぼ同じものをほぼ同じように注文し続けている。
自分がどれだけ主婦向きじゃないのかと驚いている。
よく今までやってきたよ、がんばったね、と思えた。

 

ホームセンターの棚にあった電子レンジの中から私が即決し、
無事に条件を満たす電子レンジを購入し、無料で下取りしてもらえて、帰宅した。

 

そう、夫は様々に様々に選択肢を提示してくれて意見を聞かせてくれるのだけど、
私の意見を必ず聞いてくれて、しかも最終的な判断は私に委ねてくれるのだ。
私は、選択肢が多いのが嫌いで、できれば3つぐらいの選択肢から即決したい。自分の判断で。

 

夫と今まで長年生活を共にしてきて、
私は様々な選択肢をきちんと比較し対照し、もっともな理由をちゃんと考えて、
そしてひとつひとつの物を選択していかなければならないんだと思っていて、
それがとてもしんどかったことに気づいた。
このやり方は、夫の好みのやり方だ。
私の好みのやり方は違うんだ。
そのことにやっと気づいて、私のいい加減な物の選択のしかた、
私の物に対するこだわりのなさと、選択するという面倒くささを、認めてもいいように思えた。
なんでもいいよ、どんなんでもいいよ、私にこだわりはないから。私に使えるような物ならいいよ。
初めて、みんなが使う物について、こういう私の正直な気持ちを言えたかもしれない。
そうしたらみんなは自分のこだわりを自由に表してくれた。
そして、今日は夫が私のやり方に合わせてくれたようにも思えた。
私たちはずっと、お互いのこと思っていたはずなのに、お互いにしんどくなる方法しか知らなかったみたいだ。
これからはもう少し、上手におつき合いができるようになればいいなと思う。

 

 

夫と2人で電子レンジを設置した。
そういえば大きさ測ったりもしてなかったけど、設置場所にぴったりだった。(よかった…)

 

子どもたち、「わあすごーい!早く使いたい!」 と喜んでいた。
「今日の夜ごはん作るとき、お手伝いしますので!電子レンジ使ってね!」
長男は取扱説明書を熟読。
長男「お母さん、壁面取り付け金具はどこ?」
私「あ、それは別売りで、買ってません。」
長男「そうなんだ。えーっと、汚れが付着したらすぐに拭き取ってください、だって。」
私「はーい。」
長男「ふーん、回路図はこうなってるんだって!これが閉じたとき、開けたらこうなって…」
次男「ねえこの箱、もらっていい?」
私「どうぞ。」
次男「お兄ちゃん、これ、2人で巣にしよう!ぼくここに窓開けてくるから!」
説明書からダンボール箱まで、電子レンジを堪能してくれた。

 


そして夕方はやたらと早い時間から、
2人から「夜ごはん作ってくださーい」、「お母さーんそろそろご飯作り始める時間ですよー」と、お呼びがかかった。
冷凍していたタラコを半解凍するのと、人参をゆでるのに使わせていただいた。
子どもたちは今までの電子レンジにはなかった「半解凍」ボタンと「茹で野菜(根菜)」ボタンに感動していた。
人参は、今まで18分ぐらいかかっていたのが5分でできあがった。
たいへん便利だ…。賢くて使える子は、好きだ。
みんなに愛された電子レンジ、大切に使っていきたい。
これでますます私の手抜き料理に磨きがかかりそうで、ありがたい。
そして長男の凝った料理にも磨きがかかるのだろう。