贈り物

今日はカウンセリングと野田俊作ライブラリのオンライン勉強会でした。

 

今日のカウンセリングでは、

前回からの引き続きのエピソード分析だったのですが、

クライアントさんの私的感覚を使って、

素敵な協力的な目標と代替案が見つかったなあと思います。

どんなことができるかなあ〜と、クライアントさんが

とてもわくわくしながら、楽しそうに考えておられて、

私も、カウンセリングのこの時間を楽しいと思えました。

 

それは、クライアントさんが、相手役さんとより良い関係を作ってみたいと

心から思っておられて、すっかり陰性感情がなくなってしまっていて、

相手役さんの良い意図に気づかれて、感謝しておられて、

私に何ができるんだろう、何かできるなやらやってみたいって、

そういう風に構えが変わってしまっていたからだと思います。

代替案を考えるとき、

どんなプレゼントを贈ったら喜んでもらえるかな、と考えているようなお顔でした。

なんて美しい方なんだろうと思いました。

 

 

自分の持っている価値観を、どうやって相手のために使えるのか、

それを考えることがカウンセリングの醍醐味だと思いました。

自分の良いところに気づいて、自分の使い道を知ること。

そうすれば、勇気を持って行動することができます。

 

すべて、もともとクライアントさんが持っていたものなのです。

そこに、私は名前をつけるお手伝いをしただけ。

無意識から意識へと橋渡しをしただけです。

アドラー心理学では、フロイト派のように、

無意識をまがまがしいものとはとらえません。

意識の一部が無意識を抑圧しているとか、無意識が意識を抑圧しているだとかいうことも考えません。

無意識と意識とが協働していて、個人の中に葛藤はないと考えます。

自分が気づかずにいた自分の良いところに、長所に、有用な可能性に、

名前をつけて意識にのぼらせて、手に入れて、使えるようにします。

 

その人が持っている素敵なものを、一緒に愛でられることを幸せに思います。

その素敵なものを、どうやって使えるか、一緒に考えていけることを幸せに思います。

その使い方を見つけて、相手のために実践してみたいと言ってくださることが

私はとても嬉しいです。

この方は幸せになる方法を手に入れたんだなって、今日は感じました。

そして、物語がまったく変わってしまった。そう感じられました。

 

 

代替案を考えるとき、クライアントさんが苦しんでいることがあります。

それは私の下手さのせいなのか、それ以外にも何かあるのか、

今の私にはわかりません。

それがよくないことなのかどうかも、わかりません。

でも、相手のために何かしてみたいと心から思えたとき、

それが自分にとってはたいへんなことであっても、引き受けようと決心するとき、

その瞬間に感動します。

苦しくなく決断できる場合もあれば、

その決断がとても苦しい場合もあるだろうと思います。

決断は、何かを捨てることです。

相手のために自分のこだわっている何かを捨てることです。

 私にはクライアントさんを本当に理解することはできないけれど、

クライアントさんの決断を、どんな小さなことであっても、その決断を

尊いものだと思い、大切にしたいです。

 

 

クライアントさんの良いところを、良い使い道を探していく、

カウンセリングはそういう楽しいものであると、

今まで忘れていたことを思い出しました。

私はまだ、問題を取り除こうとしていたのでしょう。

だから私がクライアントさんの物語を悲劇的にとらえてしまっていたのかもしれません。

だけど、クライアントさんはどんな状況でも、美しい物語を生きていくことができるはずです。

問題はもしかすると、そのまま解決できないまま、そこにあるかもしれないけれど、

そうではあっても、クライアントさんは相手のために何かできることがあるはずです。

そのことを知り、そうやって自分をお役に立てるように生きていくことは、

幸せな人生だと思います。

どうしようもない問題を抱えたまま、人々のために自分にできることをしていく

美しい物語を、生きていくことができるはずです。

それは、悲劇ではないと思います。

 

そういうことを知って、感じてもらえたら、

それがカウンセラーからの贈り物として届けられたらいいなと思います。