静かすぎる旅路だった。
特急とローカル電車を乗り継ぐホームには人影もなく、
乗り込んだ車両は私ともう1人だけ。
駅にせまる山は深い青だった。
それから新幹線に乗って、目的地の駅へ。
霧雨の中、友人が待っていてくれた。
鞄に好きな本と好きな音楽を詰めて、
行く先々で好みのものを食べられて、
どこへ行っても私は私の私的な生活の延長を続けることができる。
これは少し昔の時代と比べれば、夢のようなことに違いない。
私たちは便利な世界を求め、作ってきた。
こうしてとうとう旅行記まで、
リアルタイムで世界中に発信できてしまうようになった。
だけど私が心から望んでいるのは、ただ、友と一緒に過ごすことだ。
それはきっと、どの時代に生まれていても変わらない幸せだ。
物語の連なりで私の人生はできている。
それがわかって、私は孤独を感じることがなくなったと思う。
1人で電車に乗っている時間も、
目的へ向かうための大切な時間だと思えるようになった。
広い視野で、人間のこと歴史のこと、人間智を身につけていきたいと思う。
私は自分の人生を生きているけれど、
家族や友人と一時を共にして、協力し合って、
また1人になって自分1人で自分のタスクに向き合って過ごして、
そういう風にしているんだとわかった。
私という個人がなくて協力することもできないし、
家族や友人という社会がなくて私という個人がいることもできない。
リディア・ジッヒャーの横の平面の図の意味を、やっとつかんだと今思ったけれど、
まだうまくは説明できないようだ。
明日から講義と実習!
瞬間瞬間、私のできることを一生懸命やってみようと思う。