勉強の仕方

2020/6/3


延期になっていたパセージ8章が、やっと6月13日に開催決定しました! 
3月4日が予定だったので、長い長いお休みでした。 
メンバーさん全員が来れる日が決められてよかったです。 

パセージもカウンセリングもない間、何か建設的なことをしようと思って計画を立てて、そしてそれが今の所2ヶ月ぐらい継続して実行できています。 


ひとつは、オンライン勉強会。 
実は今3つの勉強会をやっています。 
エピソード分析の事例検討会と、 
アドラーの著作の抄読会と、 
野田俊作ライブラリの勉強会です。 
どの会もメンバーはかぶっていないのですが、 
どの会でもお互いにどんどん成長していくなあという実感があって、とても充実しています。 
全国のアドレリアンと簡単につながれて、勉強できるので、オンラインもとても便利でよいものだと思います。 

どの勉強会も、事前に資料を読み込んできて、それからローテーションで資料作成の宿題が課せられるところが学びにつながります。 
これ、ただ何も資料作成をせずに手ぶらで参加しているだけでは、あまり学びは深まらないだろうと思います。 
お金を投資しない分、労力という投資をすることが大事なんだろうと思います。 
だから、ただみんなで楽しみながら学びましょうというコンセプトのオンライン勉強会については、私はけっこう積極的に批判的立場です。 
(このことはこの辺でやめておこう…まだ陰性感情が大きいです…。) 


2つ目は、アンリ・エレンベルガーの『無意識の発見』を入手して読み始めたことです。 
アドラーがメインに出てくるのは下巻なのですが、上巻から読んでいます。 
ちなみに、まだ上巻です。 
ですが、なかなか面白いです。 
何が面白いかというと、西洋思想の流れがひじょうによくわかって、 
その中に深層心理学がどのように組み込まれていて発展してきたかということがよくわかるところです。 
そして、教科書的な西洋思想史には軽蔑されて顧みられることのない、魔術的オカルト的世界観の歴史的流れも、主流の思想史とあわせて一望できることです。 

アドラー心理学は科学であり、そして一方で思想を持っているため、非科学的な側面も持ち合わせています。 
そしてそれは臨床の場でも、科学的である必要があり、非科学的である必要もあると私は思うのです。 
相互尊敬・相互信頼・協力・目標の一致は、人間の関係の築き方であって、 
これは科学ではないと私は思っています。 
全身全霊でそうあるべきだと信じ、その理想を追求すべきものだと思うのです。 
これは、科学ではありません。科学であってはいけません。 
科学は予測と制御ができ、再現可能であること。 
でも、科学の発見や科学者の目指すものは、非科学的な、熱い思いと理想の追求が不可欠だと思うのです。 

そういう意味で、私たちは非科学的であるべきだと思うのですが、 
そういう側面は、魔術的治療の成功した一面と同じところだろうと、思えたのでした。 
アドラー心理学は、人間の歴史の初めからあった治療の魔術的部分の効果的な側面を、 
科学的に洗練させながら、受け継いでいると感じたのでした。 
そしてそれは誇るべきことだと思うのです。 

私は科学的な心理学の徒でもあり、魔法使いの弟子でもありたいです。 
アドレリアンセラピーは、どうしても言葉では伝えられない部分のある、 
身体でしかわかることのできない芸ですから、これは魔術の範疇なのです。 

それで、こんな風にこの本で発見したことは、ときどき夫に聞いてもらっています。 
彼は西洋思想史の流れに詳しい人ですから、私の話が理解してもらえます。 
それに、ああ根本的な価値観が私たちは一緒だなあと深く感じることもできて、とても嬉しいのです。 
とっても賢い人で、熱い思いを持った人で、現代に対する強い批判精神を持った人と結婚できて、 
本当によかったなあと思っているところです。 
それに、私が時間を見つけて勉強していることを、誰よりも素晴らしいねって言ってくれるのが夫なのです。 
先日はそこに付け加えて、それだけ勉強している上に、毎日お弁当も作ってくれてありがとうねって言ってくれたのが感激でした。 



3つ目は、もう何度目になるか忘れましたが、何度目かの挫折からまた復帰して、 
ドイツ語の勉強をやり始めました。 
今回は楽しめる工夫を一生懸命考えまして、 
ミヒャエル・エンデの『ジム・ボタンの機関車大旅行』という素晴らしいファンタジーの原書であるドイツ語版を読んでいくことにしました。 
全文ノートに書き写して、全訳していくという方法です。 
ただし、訳した日本語は書きません。 
単語を調べてノートに書き込みます。 
ちなみに単語を調べるときにメインで使っているのは、ドイツ語ー英語の単語集なので、 
英語で単語の意味を書き込みます。 
この単語集で調べてもわからなかったら独和辞書を使います。 
こうやって、気の遠くなるような作業を始めました。 
でも3週間ほど続けていて、最初は1日に3文ぐらいしか進まなかったのが、だんだん6文ぐらい進めるようになってきました。 

それで、すべての単語を調べ終わって、だいたい日本語で意味がとれたぞと思ったら、 
隣で宿題などをしている長男に、「できましたー!」と報告をします。 
すると長男が、日本語のジムボタンの本を開いて、「ではどうぞ!」と言います。 
私はたどたどしく、一文ずつ訳していきます。 
途中わからなくなって、「あれー?これ、息を吐き出す、で合ってる?」とか聞くと、 
長男「うーん、ちょっと違うかなー。」 
私 「あ!蒸気を吹き上げます?」 
長男「そうですね、そんな感じです。『シュッシュッシュッシュとこたえます』」 
私 「そこまで訳出するのは無理や~!」 
長男「まあ、まあ、合ってますかね。」 
私 「意味は同じでしょ?合ってるって言っていいでしょ~?」 
長男「まあそうですね。いいとしましょう。」 
なんていう風に、優しく厳しい先生役を引き受けてもらっているのです。 

そしてその日できた文を全部日本語にし終えると、 
「今日はここまでです!」と私が言い、 
長男が「では読みますね。」と言って、美しい日本語訳を読み上げてくれるのです。 
それで長男が読み上げてくれることが、長男の音読の宿題ということにもなっており、 
お互いに協力し合っているのでした。 

それを見て次男、「お母さんもべんきょうがんばってるね。ちょっとずつじょうずになってるよ。」なんて励ましてくれます。 

長男の計算によると、このペースだと3年で一冊が終わるそうです。 
くらくら… 
でも天文学的数字ではなかったし、よく出る単語はちょっとずつ馴染みになってきたし、 
何より子どもたちのおかげで楽しくできているから、続けられそうです。 
「これから3年という間、ご協力いただけますか?」 
「うーん、たぶんお母さんもっと早く進めるようになると思うから、3年よりだいぶ早くに終わると思うけど、いいよ。」 
ありがとう!とっても勇気づけられました。 
「あと、これ続きもあるよね。」 
はい、『ジム・ボタンと13人の海賊』とあわせて2巻で物語は完結です… 
鬼コーチです。誰に似たんや… 



というように、勉強を続ける工夫を凝らした甲斐があって、 
みなさまのおかげで私は自宅学習を継続できています。 
ここに公表してしまうことで、より止めにくくなるという効果もあります。 
一番のポイントは、誰かと一緒にやるということです。 
今まで私は、座学についてはたった一人で勉強をしようとしていました。 
熱意は十分あるのですが、完璧主義かつ怠け者の私は、途中で理想の高さと根気のなさによって、挫折してしまっていました。 
でも、仲間と一緒に勉強するのなら、約束によって縛られますから嫌でもやります。 
思うように進まなくても、とりあえず一歩進むことが大事なんだとわかりました。 
それに、仲間もがんばっているし、仲間の成長はよく見えるのです。 
きっと私も成長できていると思えるし、何よりみんなからとても勇気づけてもらえるし、 
ああお勉強は仲間とするべきことなのだなあと、学びました。 

そして、子どもたちもそれを学んでくれていることが、たぶん彼らにとってもとてもいいことだろうと思います。